日本史(主に平安〜鎌倉初期)&源平史跡、伝承地巡りの記録。 あくまでも自分の為の記録で御座います。

咲いた花より咲く花よりも 咲いて乱れた花がよい、
日本最古の温泉としても名高い、湯の峰温泉――。
93度という高温の温泉が自噴している、熊野の湯治場で御座います。
ボーリングが行われていない特異な温泉だそうで、学術的にも貴重であると言われております。
中辺路〜熊野三山に通じる道からは、少し外れた位置に御座いますが、古来より熊野詣の湯垢離場として知られ、平維盛様の伝承も伝わるこの地には熊野九十九王子の1つである湯の峯王子が祀られております。

共同浴場前の川岸には湯筒という源泉自噴口が御座いまして、誰でも気軽に温泉卵や茹野菜を作る事が出来ます〜。
直ぐ近くの御店で卵やら野菜やらカップラーメン(笑)を販売しておりますので、手ぶらで行ってOKなのです♪
とっても美味しいのですー!

湯の峰の川岸には、つぼ湯と呼ばれる世界遺産登録物件の公衆浴場があり、予約して入る小さな小屋には2〜3人が入れる位の小さな岩穴から湧き出る神秘的な温泉が御座います。
1日に7回、温泉の色が変わると言われているのですよ〜不思議!!
こちらには1800年の歴史があると言われ、小栗判官の伝説が残ります。
本日は、熊野 湯の峰に伝わる小栗判官と照手姫の伝承について記してみたいと思います。

湯の峰1


現代に至るまでに途絶えてしまった中世の口承芸能に「説経節」というが御座います。
発生は室町時代初期と推測されており、江戸時代には歌舞伎や浄瑠璃の影に消えていった芸能のようです。
娯楽の少ない時分、説教の上手な御坊様に人気が集まり、それがそのうちに大衆芸能として転化して説経節になったと言われております。
説経節には悲しい物語が多く、悲しげな節で述べられるのを聞いて聴衆は涙を流していたのだとか…室町らしい文化で御座いますね。
小栗判官も、その説経の有名な題材の1つだったようです。

小栗判官の伝説は、各地に幾つか散らばっておりまして…実は、史跡も数多く残されております。
熊野に残された伝説では、地の底から蘇生し餓鬼阿弥となった小栗判官を、妻である照手姫が土車に乗せ、仏様の導きに従って東海道を熊野に向かい、辿り着いた湯の峯温泉のつぼ湯の霊験によって回復するという…愛と感動の物語として語り継がれております。

熊野の地は、死霊の集まる地であり、死者蘇りの聖地でもありました。
また、身分や性別に関わらず万人を受け入れてきた聖地でもありました。
死と再生――熊野に詣でれば、どんな苦しみからも救われる。
例え道中に行き倒れても、きっと来世では救われる…そんな熊野独特の信仰が、小栗判官の史実や口伝と交わって伝説となり、現代まで語り継がれているようで御座います。
最初は平安初期頃の伝説かしらと思っていたのですけれど、調べてみると、もっと後の時代の事で御座いました…←確か湯筒観音様の横の案内板にも書いてあった筈なのに(苦笑)

↓本宮へ向かう道路脇にある、車塚で御座います。
 小栗判官が乗せられて来た土車を埋めたと伝えられます。

湯の峰2


まかずの稲と、力石で御座います。
 小栗判官が髪を結わえていた藁を捨てた所、稲が生えて、毎年米が実り続けたことから、まかずの稲と言われているそうです。
 力石は、小栗が湯治の間、体力の回復を試すために持ち上げた大小の石だそうで御座います。
 湯の峰のバス停より本宮方面に少し歩くと左側に細い道が御座いまして、更に少し進んだ場所に、向かい合うように残されております。

湯の峰3


□ 小栗助重 □

生年:不詳
没年:不詳
通称:小栗判官


□ 照手姫(てるてひめ)

生年:不詳
没年:不詳


史実としては、とってもアヤフヤな御2人では御座いますが、実在であった事は確かだと思われます。
小栗氏は桓武平氏大掾の流れをくむと伝わる一族で、平安末期から常陸国真壁郡小栗邑に居城を構えておりました。

1416(応永23)年、小栗城主満重(小栗判官父)は関東管領足利持氏と上杉禅秀との戦で禅秀方に付き敗北した為、足利持氏によって多くの領地を削られました。
持氏に恨みを抱いた満重は、応永25年、鎌倉で謀反を企てますが失敗。
小栗城に逃れた満重ですが、鎌倉勢の攻撃によって城は落城。
なんとか死を免れた満重ですが、持氏に対する反抗心から、応永28年に挙兵、常陸、下野を騒がす大乱となりました。
応永30年、結城城に入った足利持氏の攻め立てによって、小栗城は滅び、満重は自刃致しました。
その際、子の助重(小栗判官)は密かに三河国に逃れており、後の結城合戦で領地を取り戻す事となります。
然し、1455(康正元)年の敗北の後、助重の消息は不明。
小栗氏は時代の流れに消える事となるようで御座います。

未だ未だ不勉強な時代ですので、深く調べていけば、もっと色々と解る事もあるのでは無いかと思います;
照手姫の事も、改めて調べてみたいと思っておりますー(><)

湯の峰4


その他の小栗判官の伝承地で御座いますが、矢張り関東に多いようで御座います。
神奈川県の相模湖町美女谷、城山町、相模原市上溝、横浜市金沢区六浦、横浜市戸塚区俣野町、殿久保、茅ヶ崎市室田、藤沢市長生院、車田、台町、引地……小栗判官祭りが行われる茨城県筑西市協和地区等、せっかく関東在住なので色々と訪れてみたいもので御座います。

また、南紀白浜の救馬溪観音も、小栗判官縁の寺院で御座います。
先日、白浜を訪れた際には行けなかったので、こちらは次回の熊野参詣時に行けたらいいな〜と思います。

※タイトルは、南紀の生馬地方に伝わる田植歌より。

 咲いた花より咲く花よりも
 咲いて乱れた花がよい
 咲いて乱れてまた咲く花は
 小栗判官照手の姫よ
 小栗判官照手の姫は殿のためにと
 車を引けどためになるやらならぬやら


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