
私とクラッカーさんの御気に入りに『琴姫のなみだ』という絵本が御座います。
昔々、石見国の海辺の村に、ひとりの娘と一張の琴が流れ着く――そんな出来事から始まる物語の主人公は、“腰抜けの三郎太”と呼ばれる臆病な漁師の若者。
「姫のようじゃ」
「関わり合いにならねえ方がええ」
村人達の声を他所に、姫を連れ帰り、手厚く看護したのは三郎太と その御婆様で御座いました。
次第に体力を回復させる姫で御座いますが、言葉を忘れたように何も喋る事は御座いませんでした。
毎日、悲し気な眼差しで海を見詰めるばかりの姫を見て、三郎太は 海の仲間達が話していたうわさ話を思い出します。
『遠くの海で、恐ろしい合戦があっての。
女、子供までが、次々に海へ飛び込んでしもうたそうな。
可哀想にのお…』
「………源平合戦ー…っ!!!」
「絵本を読んでいる最中に、いきなり何叫んでるクラ!
」クラさんには怒られてしまいましたが(笑)、私は この台詞を読んだ瞬間、これは間違い無く源平の壇ノ浦合戦後の物語なのだと確信を持ちました…。

然し、この物語は 更に読み進めていっても、“源平”とか“平家”とか“京”といった単語は一切出て参りません。
姫は殆ど喋りませんし、傷心の姫の心の内を察した村の人々は 姫の過去に干渉する事無く、村での日々を送っておられます。
海で両親を失った三郎太は、これからは自分が姫を護ると決意致します。
三郎太と心を通わせた姫は、声に出せない想いを琴の音に乗せて、毎日 浜で漁師達を励ますようになりました。
姫の奏でる事の調べは大漁を呼ぶと喜ばれ、いつのまにか村の人々から“琴姫様”と親しみを込めて呼ばれるようになりました。
ある嵐の晩、海へ出た三郎太が帰って来ないのを心配した琴姫は、琴を抱いて嵐の海へ向かい、荒れ狂う浜辺にて神仏に三郎太の無事を祈りました。
海上で波に呑まれた三郎太は、琴の弦が切れるような音を聞き、それから 囁くように自分を呼ぶ琴姫の声を聞きました。
「三郎太に逢えて、幸せでした。
私の凍り付いた心を溶かして下さった三郎太と御婆様の傍に居て、いつまでも琴を聞かせましょう。
琴の音を聞きたくなったら、この浜辺に来て下さい」
涙ながらに そう告げた琴姫は、三郎太が浜辺で眼を覚ました時には何処にも居りませんでした。
浜には、弦の切れた琴が一張…。
琴姫を求めて三郎太が浜を駆けると、足元で キュッ、キュッ、と砂が鳴きました。
それ以降、この浜辺には透き通った白い砂が見られるようになったといいます。
村の人々は、この砂を“琴姫のなみだ”といい、浜を“琴ヶ浜”と呼ぶようになり、いつまでも琴姫を偲んだそうで御座います。
この絵本は地域の伝承に基づいた作品。
私は、この絵本に出逢うまで、琴姫様の伝説については存じませんでした。
それどころか…地元 広島から極端に離れた土地でも御座いませんのに、実は石見国が北陸地方だと思い込んでいた愚かさで御座います…あぁぁ何処まで地理に弱いのでしょう私は…御恥ずかしいぃ;;
この“琴ヶ浜”で御座いますが、現在の島根県大田市仁摩町馬路町の海岸で御座います。
鳴き砂で有名な琴ヶ浜。
こちらに伝わる琴姫様は、流れ着いた平家の姫君として、今も土地の方々の間に語り継がれております。
琴ヶ浜について、詳しい事は明日 記したいなと思っております。



Comment
どうゝね様、おはようございます。
仁摩町というと 私は大ヒットコミック「砂時計」がすぐに頭に浮かびました。昼ドラ化(佐藤めぐみ主演)、映画化(松下奈緒主演)されましたね。
仁摩町には、仁摩サンドミュージアムという建物があって 1年を計る一年計砂時計があります。またそこでお土産として売っている一分計砂時計は、ひとつひとつ手作りだそうです。
仁摩サンドミュージアムのHPに、琴ヶ浜や鳴き砂も載っています。鳴き砂の音が聞けますよ! 一度ご覧になってください。
ではまた。
仁摩町というと 私は大ヒットコミック「砂時計」がすぐに頭に浮かびました。昼ドラ化(佐藤めぐみ主演)、映画化(松下奈緒主演)されましたね。
仁摩町には、仁摩サンドミュージアムという建物があって 1年を計る一年計砂時計があります。またそこでお土産として売っている一分計砂時計は、ひとつひとつ手作りだそうです。
仁摩サンドミュージアムのHPに、琴ヶ浜や鳴き砂も載っています。鳴き砂の音が聞けますよ! 一度ご覧になってください。
ではまた。
重盛 | URL | 2008/09/07/Sun 10:34[EDIT]
こんにちは。
サンドミュージアムの砂時計は有名ですよね〜。
小さい頃、琴ヶ浜へ行った記憶はサッパリ残っておりませんでしたが、砂時計は何度も見て印象的だったのか、良く覚えております。
小さい頃は、こちらで購入した1分間の砂時計を歯磨き用に毎日使っておりました。
懐かしいですー。
今回は、母が もう何度も言っているからいいと言うので立ち寄りませんでしたが、また行ってみたいかなとは思います。
映画化したコミックの「砂時計」は、知っておりましたが見た事は御座いませんでした。
こちらが舞台になっているのですね。
機会があれば、拝読してみたいと思います〜。
サンドミュージアムの砂時計は有名ですよね〜。
小さい頃、琴ヶ浜へ行った記憶はサッパリ残っておりませんでしたが、砂時計は何度も見て印象的だったのか、良く覚えております。
小さい頃は、こちらで購入した1分間の砂時計を歯磨き用に毎日使っておりました。
懐かしいですー。
今回は、母が もう何度も言っているからいいと言うので立ち寄りませんでしたが、また行ってみたいかなとは思います。
映画化したコミックの「砂時計」は、知っておりましたが見た事は御座いませんでした。
こちらが舞台になっているのですね。
機会があれば、拝読してみたいと思います〜。
Track Back
| TB*URL |
| ホーム |
