
こちらは、和歌山県田辺市に流れる会津川上流の渓谷――奇絶峡。
先月末の熊野旅行にて、龍神温泉から田辺方面に向かっている途中に こちらの前を通り掛かりまして…何だか無視して通過してはいけない気が致しましたので、車を停めて散策する事に致しました。
会津川沿いの県道29号線を走っていると、何だか不思議な形の岩や大きな岩が続々と並んでいるのが見えました。
奇絶峡は 奇岩、巨岩が立ち並ぶ絶壁が両岸に続く、約2キロメートル程の渓谷。
“奇絶峡”と書いて、そのまま“きぜつきょう”と読みますが、田辺近隣の方々からは“きぜっきょう”もしくは“きぜきょう”“きでっきょう”等とも呼ばれているそうで御座います。
朱塗橋が架けられる入口前の道路脇には、広くは御座いませんが数台の車を駐車出来るスペースと御手洗が設けてありました。
道路側の山側には、対岸から奇絶峡を展望出来る登り口もあり、付近には句碑等も多く御座いました。

橋を渡ると、目の前には とても見事な白滝が御座いました。
高尾山赤城谷を水源としている事から“赤城滝”と名付けられておりますが、不動明王を御祀りされている事から“不動滝”と呼ばれる事の方が多いようで御座います。

不動滝の落差は23メートル。
余り水量が多く無い為、水勢の激しい御滝では御座いませんが、静かに流れ落ちる清水の水音や滝壺に描かれる波紋には、どうしようも無く惹き付けられる気がして…中々、その場を離れる事が出来ませんでした。

朱塗橋を渡った不動滝の手前辺りに、御祀りされていた石碑で御座います。
中央の石碑中央に刻まれている文字は、“南無妙法蓮華経”…法華経の題目で御座いますね。
その題目を囲むように、記されていたのが娑伽羅龍王様と北辰尊星妙見大菩薩様の御名。
娑伽羅龍王様、妙見様は、共に法華経を護られる神仏で御座いますので、守護神様として御祀りされているので御座いましょう。
↑明らかに、思いっきり妙見様に反応してしまっておりますね私…。
そして、その両脇の石碑…左側には白龍大善神様は、右側には末廣大善神様が御祀りされておりました。
白龍様は水神様、末廣神様は御稲荷様として、共に御祀りされているのでは無いかなと思われます。

不動の滝の流れ落ちる直ぐ脇の坂道を登って行きますと、先ず右手に延命地蔵様に出逢う事が出来ます。
私は元々、余り神仏に祈願事をする習慣が無いのですけれど、最近は 延命長寿に御利益のあるといわれる神様仏様を御参りする際には、地元の祖父母と母の延命を御願いさせていただくようになりました。
こちらでも、個人的な御挨拶と共に 祖父母、母の平安を御見守り下さいと手を合わせて参りました。

延命地蔵様よりも少し登った場所、左手の滝寄りの場所には、妙見様の祠が御座いました。
中には、板葺屋根違三社造の神棚が御祀りされ、手前に阿吽の可愛い狛犬さんがいらっしゃいました。
中央に“妙見大菩薩”、向かって左が“千手観世音菩薩”、右が“常富大菩薩”の御社となっているようで御座います。
常富大菩薩様は、御稲荷大明神様として御祀りされる事も御座いますが、妙見宗では妙見様と共に 法華経を説かれた御本尊 御釈迦様を守護される脇本尊として御祀りされておりますね。

更に少し登ると、不動明王様の御堂が御座います。
御堂前の石段脇には、不動明王像が出迎えて下さるように立っておられました。
奇絶峡のお不動さん
今から150年くらい前、上秋津の木村さんが、奇絶峡で不思議な三人の修行者と出会い、お不動さんを祀ったのが始まり。
奇絶峡整備委員会

“お不動さん”と呼び親しまれている不動明王様の御堂の奥壁と屋根は、大きな岩で御座いました。
御堂内部は靴を脱いで上がれるようになっており、私の前を行かれていた御夫婦が御経をあげられておりました。

御滝の上、地上100mの岩肌には、なんと堂本印象派の原画による三尊磨崖仏が…!
私は裸眼だと視力が低過ぎて殆ど何も見えていないので御座いますが、最初に車から居りた時、丁度都合良く運転用に眼鏡を掛けておりましたので、目に入った瞬間は本っ当〜に吃驚してしまいました。
奇絶峡磨崖三尊大石仏
大石仏演技(田辺市仏教会藤堂俊章)に、
「田辺市の橋本豊吉居士は早くより南紀景勝の地に石仏造立の誓願を立て、八方にその適地を求めて心をくだきついに善縁に恵まれ名勝奇絶峡にそびえる巨厳に適地良石を発見するに至りしも、第二次世界大戦俄かに起るやその志願一時中止の止むなきに至る。
今わが国土に平和の春よみがえるや同居士は、田辺市並びに田辺市観光協会及び地元上秋津愛郷会を動かし、この三者の発願により、日本芸術院会員堂本印象画伯に弥陀、観音、勢至の三尊仏の原画揮毫を依頼し、同画伯指導のもと三ヶ月の月日を費やし、厚肉彫の優れたる磨崖大石仏が彫刻され永年にわたる悲願がここに成就した。
時に昭和四十一年四月八日、奇しくも仏陀生誕の聖日。
これ全く衆縁和合の然らしむる処、けだし仏心の顕現というべし。
願わくは弥陀三尊、人生々活の光明となると共に永く平和のシンボルとして世界平和の将来に護念を垂れ給わんことを。合掌」
と記されている。
昭和四十六年七月一日発行 田辺市誌(二)より抜粋
奇絶峡整備委員会 平成十八年四月吉日

春には桜の名所、秋には紅葉の名所…と、奇絶峡は四季折々に様々な光景を映し出す景勝地と伺っております。
奇絶峡
会津川上流の約2kmにわたる渓谷は滝や巨石・奇岩がいたるところに点在し、紅葉の名所として、また桜の咲く季節はとくに壮観です。
「不動の滝」と名づけられた滝の近くにある巨大な一枚岩には、堂本印象画伯の原画をもとにした、「磨崖三尊大石仏」がレリーフされ、周囲の景観に趣きを添えています。
私が こちらを訪れたのは、自分の誕生日の翌日で御座いました。
瑞々しい新緑に囲われた清瀧の澄んだ御色と静かな御声が忘れられません。
これもその内記す予定では御座いますが、今回 龍神では生命の危険に伴い無念に終わってしまった史跡巡り等も御座いまして…正直、かなり未練タラタラで御座いますので、今秋にまたリベンジ出来ればと思っております(←夏場に行く勇気は御座いません…きっと谷底に落ちま…す/涙)
その際、今度は紅く色付いた奇絶峡にも、また車を停めて立ち寄りたいな〜と思っております♪

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